死にたいと思いながら生きていく

生き延びるための呪文

自死した母を忘れようとしていた①

母は、56歳の時に自死しました。
自宅のクローゼットの取っ手に紐を通し、首をくくりました。


発見したのは仕事から帰ってきた父。

私はその日、有給を取得して自宅でくつろいでいました。こたつに入って寝転がりながらポテトチップスを頬張って。
いつの間にか寝ていて、お昼頃、携帯電話が鳴り続ける音で目を覚ましました。画面に表示された相手が父と分かると、後でいいや、とまた眠りにつきました。
起床したのは夜。お風呂に入り、髪の毛を乾かしながら父からの留守電を再生しました。
明らかに動揺した父の少し大きな声で「お母さんが  死にました!連絡ください」
母が死んだ?嘘でしょ?嘘でしょ!!!
激しく動揺した私は、当時同棲していた彼を別部屋から呼び、ねえお母さん死んだって!どうしたらいい?どうしたらいい?!と叫び続けました。彼に促され、震える手で何とか父へ折り返しの電話をし、母がほんとうに死んだこと、そして、自死したことを知りました。

急いで実家に向かいましたが、その日は大型台風が来ており、途中のターミナル駅で電車がストップ。運転が再開し実家に到着したころには、もう日付けをまたいでいました。
実家の最寄駅に着き、父の迎えの車に乗り込んだ時の、誰も何も母のことに触れずに過ぎる時間を、空気を、今でも鮮明に覚えています。